deslarnetのtech blog

慌てず、急いで、正確にな

M2 Pro搭載MacBook Proを購入した話

MacBook Pro 14インチ(2023)

最新型のMacBook Pro(14インチ)が届いて1週間ほど経過した。初めてのApple siliconだし、そもそもMacを購入するのは初めての経験だ。
以前はDell XPS 9500を使っていた。15インチのハイエンドノートPC。Core i7-10875H、32GB RAM、2TB SSDという盛り盛り構成で、購入当時35万円近くしたように思う。
気付けば幼稚園の頃から(MS-DOSか)Windowsしか使ってこなかった。慣れ親しんだWindowsなら、何か不具合に遭遇しても、どこが悪いのか大方予想がつくし、たいてい自力でなんとかできる。だが、何度も何度も解決を試みたものの、絶対に解決できない問題が3つあった。

  1. 深刻なサーマルスロットリング
  2. スリープ状態から勝手に復帰して鞄の中で熱暴走(これはこの商品というよりもWindowsの問題)
  3. ちゃんとバックアップが取れない(これも)

1はまあ百歩譲って運が悪かったとして諦めがつくが、問題は2と3だ。特にスリープ機能が実質的に使用できないため、ディスプレイを閉じる時は毎回必ず休止状態にしていた。この方法はSSDの寿命を縮める可能性が大いにあるが、熱暴走を起こさないために背に腹はかえられなかった。このような重大な欠陥がありつつも3年近く騙し騙し使用していた。
そんな中、たまたま会社の同僚が使っていたM1搭載MacBook Proを触らせてもらった。外装はさすがAppleで、いくらハイエンドとはいえ、Dell XPSより二枚は上手だと思った。そして驚くことに、全く熱くならず、負荷のかかる作業をしていてもファンが回ることはほとんどないという。僕のXPSは電源を入れただけでじんわり熱くなってファンの風切音がするし、動画編集なんてやった日には目玉焼きが焼けるんじゃないかと思えるほどキーボードが熱くなるのに。そんなこんなで、俄にMacBookが欲しくなった。元々MacBook Proという商品は実にカッコいいと思っていたし、働き始めたら僕もVAIOかMacを使うんだと思っていた時期はある(VAIO Z(2016)は実際に使っていた。あれはあれでカッコよかった)。
AppleがMacにApple siliconを採用すると発表したての頃は、やれ互換性だのなんだのと、色々噂が立った。自分もCPUはIntelだとばかり思っていたので非常に懐疑的であった。しかし実際に蓋を開けてみると、M1を搭載したMacは概ね好意的に受け入れられているようだし、何より5nmプロセス採用の衝撃は大きく、Intelの数世代先をいっているとさえ言われ(Intel 7と銘打ってはいるが、Intelは第13世代でもまだ10nmプロセスである)、今やApple siliconは無視できない存在となっていた。
この手の商品の適切な買い時は、欲しいと思った時であることが経験的によく知られている。構成を吟味し、M2 Pro 12コア、32GB RAM、2TB SSDでいくことにした。注文するのは時間の問題だった。漢の20回払い。Apple ストアで注文して1週間ちょっとで届いた。
ちょっと触ってわかったが、さきほど挙げたどうしても解決できなかった3つの問題が見事解決したではないか!とても晴れやかな気持ちである。良い買い物をした。素晴らしい。Appleマンセー!
手元には昔買ったAdobe Illustrator CS6をはじめ、Windowsでしか動かないソフトが結構あるので、Windows 11 Proを買ってParallels Desktopで使えるようにインストールした。今では仮想化が当たり前だが、僕が学生の頃は別のOSを使おうと思ったらデュアルブートしか選択肢がなかった。導入手順も煩雑で知識がいるし、当然HDDのパーティションは別にしなきゃいけないし、他方のOSを使おうと思ったら再起動しなければいけなかった。Apple siliconなMacでWindowsを動かすには、Microsoft公式では公開されていないARM版Windowsのインストールディスク(isoファイル)が必要なのだが、Parallels Desktopはその辺を自動でやってくれるので導入が非常に簡単だ。
家で中古で買った富士通の業務用サーバにvSphereを入れて仮想サーバを動かしているので、当初はその辺の互換性を考えてVMware Fusionを使おうかと考えていたが、このParallels Desktopが非常に優秀で、あまりの便利さにFusionを使う気は全く起きなくなった(そもそもアーキテクチャが異なるので、サーバの仮想マシンをMacにダウンロードして動かすことやその逆のことは当然できない)。
ARM版Windows 11では通常のx86やx64なソフトは自動的にエミュレーションが働くので、ほぼ問題なく使用できる(Windows 10ではx86なソフトのみ使える)。写真現像用のCapture Oneがインストールで躓いた(ARM版にはインストールできない)が、幸いクロスプラットフォームだったので、Macへインストールすることで事なきを得た。いっぽう、ハードウェア周りはほぼ全滅と言ってよい状況であることが判明した。そもそもARM版Windows用のドライバなんてどの会社も作ってないし、職場のプリンタ(RICOHと富士ゼロックス)すら非対応というのには驚いた(Parallels Desktopの機能のお陰でWindowsアプリからMacのドライバを介して印刷できる)。古いハード音源なんかはほぼ確実に動かないので、乗り換えて使おうと思っている人(いるのか?)はぜひ注意されたい。そんな状況なので、互換性のないハードウェアは今後サーバに接続して使っていこうと思う(vSphereはPCIeデバイスを仮想マシンにパススルーして仮想マシンから直接制御することができる)。今後出てくる新しいハードウェアには、ARM版Windowsへの対応も期待したい。というか、携帯電話もタブレットもほぼARMなのに、PCだけ違うというのもなんだかおかしい気はする。
ガワだけMacでWindows用ソフトを使うのもまた一興だが(実は当初はWindows PCとしての運用を想定していた)、今後はMac用のソフトを使う機会が増えると思われる。けどMacもWindowsも両方使えるのが理想的だと思う。とても安心感がある。